
日産オーストラリア本社から、貴重なスカイラインGT-R R32が盗まれる事件が発生し、警察が捜査を進めている。
R32型日産スカイラインGT-Rは、自動車史において最も象徴的なスポーツカーの一つとされている。その価値は現在アメリカの中古市場で少なくとも7万5000ドル(約800万円)以上と高騰しており、非常に人気が高い。そのため、犯罪者にとっても格好のターゲットとなっているのだ。今回、日産オーストラリアの歴史的なコレクションの一部であるR32が盗難に遭ったことで、そのリスクが改めて浮き彫りになった。
日産オーストラリアの広報担当者がニュースメディア「News.com.au」に語ったところによると、「残念ながら、弊社が所有するオリジナルのR32 GT-Rが盗難に遭い、現在警察による捜査が進められている」とのことだ。
今回盗まれた車両は、1991年製の深紅色のスカイラインGT-Rで、ビクトリア州の登録番号「GTR 091」が付けられている。完全に純正仕様で、オーストラリアで初期に販売された車の一台としても知られる。この車両は2015年に日産が購入し、プロモーションイベントなどで使用されてきた。現在の推定価値は約17万ドル(約2500万円)に達すると見られている。
盗難の詳細や犯人に関する情報はまだ明らかになっていないが、日産オーストラリアはビクトリア州警察と協力し、車両と犯人の行方を追っている。また、地域の住民に対し、事件に関する情報提供を呼びかけている。
R32 GT-Rは1989年から1994年の間にオーストラリアでわずか100台しか新車として販売されておらず、同国で最も希少な車種の一つと言える。その上、この車はオーストラリアで特別な歴史を持つ。1990年代には「オーストラリアツーリングカー選手権(ATCC)」で活躍し、1991年と1992年にはギブソン・モータースポーツがR32でATCCとバサースト1000のチャンピオンに輝いた。
この貴重な自動車の歴史の一部が無事に戻ることを願うばかりだ。